デジタルトランスフォーメーション(DX)推進方針
「挑戦と基盤強化の両立」で、次の100年へ紡ぐモノづくり
株式会社村上製作所は、2026年4月をもちまして創業80周年の節目を迎えることとなりました。これまで多くの困難を乗り越え、歩みを進めてこられたのは、ひとえにお客様、お取引先様、技術パートナーの皆様、精度を追求するモノづくりを共に支える従業員、そして地域社会の皆様の温かいご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。
これまでの歴史の中で、私たちは変化することを恐れず、常に「時代・変化・成長との共生」を選んできました。しかし今、製造業を取り巻く外部環境の変化は一層激しさを増しており、過去のやり方を繰り返すだけでは、企業の成長も存続も難しい時代を迎えています。深刻な人手不足や熟練技能の承継といった課題に直面する今だからこそ、我々は第76期の年度目標として「挑戦と基盤強化の両立」を掲げました。
私たちが長年培ってきた「環境整備」の精神には、「仕事をやり易くする環境を整えて備える」「形から入って心に至る」という本質があります。この全員で毎日徹底して行う改善の文化こそ、デジタル時代における強力な基盤になると私は確信しています。
当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なるITツールの導入ではありません。徹底した「環境整備」の精神をデジタルの世界(データや業務プロセス)にも横展開し、業務の手順を徹底的に見える化・標準化することで、既存事業の足腰を固めます(基盤強化)。そして、デジタル技術を道具として最大限に活用し、新しい市場や付加価値の高いモノづくりへ果敢に挑戦します(挑戦)。
すべては、社員一人一人が「夢」と「誇り」を持ち、「ムラカミで働いて良かった」と思える存在価値のある会社であり続けるため。お客様から「付き合って良かった」と言われ、社会に永続的に貢献できる会社を目指し、社長である私が先頭に立って、これからの時代を皆様とともに創り上げてまいります。
1. DXに関する方針及び戦略
※本方針および戦略は、当社の最高意思決定機関である取締役会における審議・決議に基づき、全社一丸となって推進する最重要の事業経営戦略として策定されたものです。
【DX方針】ビジネスモデルの変革
私たちは、世界的な建設機械を支えるミクロン単位の精度を誇る「油圧機器技術」と、人々の安全な暮らしを守りインフラを支える「水門・水処理技術」という、多岐にわたる高度なモノづくりを展開してきました。今後のDX方針として、この「リアルな現場の卓越した技術力」と「最新のデジタル技術(クラウド、データアナリティクスなど)」を掛け合わせることで、職人の暗黙知をデジタル資産(形式知)へと変革します。これにより、高品質な製品を安定的かつスピーディに提供し続ける体制を確立し、お客様の要望に対して常に信頼される「次世代型スマートファクトリー」へとビジネスモデルを変革します。
【DX戦略】4つの重点取り組み
経営計画に定める目標を具現化するため、以下のデジタル戦略をスピーディに実行します。
- ① 業務手順の徹底的なデジタル化とペーパーレス化:紙帳票やアナログな管理プロセスを徹底的に見直し、業務手順のデジタル化を推進します。ペーパーレス化を進め、誰もが必要な情報にいつでもアクセスできる環境を構築することで、経営計画書に謳う「仕事をやり易くする環境を整えて備える」をデジタル上で体現します。
- ② AI活用による情報共有と業務の高速化:当社専用の生成AI(RAG)を活用し、社内に蓄積された過去の知見やデータを即座に引き出せる情報共有基盤を構築します。個人のノウハウや「悪いことほど早く報告する」精神をAIでサポートし、検索や判断のスピードを極限まで高めます。
- ③ データ駆動型の「生産性向上」とボトルネックの解消:設計から材料調達、製造、検査、納品に至るまでの生産手順の現状分析をデジタルデータに基づいて行います。工程ごとのボトルネックを客観的に特定し、4M(人、機械、材料、方法)の最適化を行うことで、生産効率10%向上を確実に達成します。
- ④ デジタル環境における「環境整備(整理・整頓)」の徹底:ITシステムやデータ管理においても、当社の文化である「整理(いるデータといらないデータを明確にし、いらないものは捨てる)」「整頓(データの置き場を決め、名前や数字をつけて管理し、必要な時にすぐ使える状態に保つ)」のPDCAサイクルを徹底します。これにより、ITの迷路化やブラックボックス化を防ぎ、常に健全でスピーディなシステム環境を維持します。
2. IT環境整備及び人材育成の方針
- データ利活用環境の整備とセキュリティ強化:全社で安全かつ効率的にクラウドサービスやデジタルツールを利用できるよう、ネットワーク環境の増強と、JIS・ISMS等のセキュリティ基準に準拠したセキュアな情報保護体制を整備します。
- 「人材育成第一」に基づくデジタル教育:「能力よりも価値観を共有できる人を重視する」という当社の採用・育成方針のもと、ITスキルのみを追い求めるのではなく、デジタルを活用して自律的に現場の業務改善(PDCA)を回せる「現場主導型DX人材」の育成を第一とします。他社や異業種の優れたデジタル活用事例(ベンチマーク)を積極的に学び、自社の業務へ貪欲に取り入れる風土を醸成します。
3. 達成指標(KPI)
DX戦略の進捗およびビジネスモデル変革への到達度を客観的に測定するため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗をチェックします。
| 評価領域 | 具体的な指標(KPI) | 第76期 目標値 |
|---|---|---|
| 収益性・生産性 | デジタルデータ分析による生産プロセスの最適化とボトルネック解消による生産効率の向上 | 10%向上 |
| 業務効率化 | 主要な業務手順のデジタル移行、およびペーパーレス化の達成率 | ペーパーレス対象業務の 100%デジタル化 |
| IT基盤・定着度 | 全社共通クラウドサービスの導入、および各部門でのアクティブ活用率 | 全社員の活用率 90%以上 |
| 環境整備・品質 | デジタルデータ(ファイル・共有サーバー)の「整理・整頓点検チェックシート」における合格率 | 四半期点検での 全員合格・優秀グループ表彰 |
4. DX推進体制(DX組織図)
当社は、経営層の強力なコミットメントのもと、全社一体となってDXを推進するためのガバナンス体制を構築しています。特定の部門に依存するのではなく、最高意思決定機関から現場の実行メンバーまでが一本のラインでつながり、自律的に変革を推進する組織構造となっています。
◆ 各役割のミッション詳細
- 最高DX責任者(統括)[代表取締役社長]:DXビジョンの策定、経営戦略との連動、およびデジタル投資に関する最終決裁を行います。全社への強力なコミットメントの表明とガバナンスの統括を担います。
- 取締役会[審議・承認機関]:最高DX責任者から諮問されたDX推進方針、およびデジタル投資計画について審議し、企業ガバナンスの観点から正式に承認・決議を行います。
- DX推進事務局[IT・ガバナンス統括責任者および専任スタッフ]:全社共通ITインフラ・クラウド環境の整備、情報セキュリティ基準の策定と管理を行います。各部門のデジタル化支援および全社横断的なDX人材育成プログラムの企画・運営を推進します。
- 現場DX推進リーダー[各コア業務部門の選抜リーダー(管理職等)]:それぞれの現場における業務手順のアナログなボトルネックを抽出します。事務局と連携して現場主導のデジタル化(ペーパーレス化や自動化)を牽引し、部署内へのツール定着を促進します。
- DX実行メンバー[全社員]:日常の業務プロセスにおいてデジタルツールを積極的に活用します。会社が掲げる「デジタル環境における環境整備(データの整理・整頓)」を日々実践し、自律的な業務改善(PDCA)を回します。
5. 情報セキュリティの基本方針
株式会社村上製作所は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が創設した「SECURITY ACTION(セキュリティ対策自己宣言)」制度において、「★★(二つ星)」を宣言いたしました。
当社のDX推進および「次世代スマートファクトリー」の実現に向けて、お客様や取引先様の重要な情報をサイバー攻撃などの脅威から守ることは、企業の社会的責任であると深く認識しております。そのため、以下の通り情報セキュリティ基本方針を定め、全社を挙げて安全かつ適切な情報セキュリティ対策に取り組んでまいります。
- 情報資産の保護: 全社共通クラウド基盤やシステム上の機密情報に対し、多要素認証の導入やアクセス権限の最小化を図り、不正アクセスや漏洩を徹底して防ぎます。
- 法令・規律の遵守: 会社の基本姿勢である「規律の遵守」に基づき、情報セキュリティに関する法令、国が定める指針、その他の規範を厳守します。
- 教育・訓練の徹底: 「やる以上は、徹底して行う。全員でやる」という基本方針のもと、全従業員を対象としたサイバーセキュリティ教育を継続的に実施します。
- 継続的な改善(PDCA): 当社の強みである環境整備のPDCAサイクルを情報セキュリティ領域にも適用し、常に最新の脅威動向に合わせた対策の見直しと改善を行います。

